前回は究極のオーベルジュでしたが、今回は“至高の民宿”と参りましょう。
ここは、民宿というスタイルの宿泊施設の概念を根こそぎでんぐり返してくれます。まるで「放浪記」の森光子のように。
みなさんは民宿と聞くと、木造のボロ家を連想しませんか?孫の写真がべたべた貼られたタンスの置いてあるごちゃついた居間で、客の前でも好き勝手な日常会話をぶちかます家族と一緒にメシを食わされるうざったい宿だと思ってませんか?
否定しません。そーゆー民宿が驚くほど多いのは事実です。
ところが、ここ「民宿みなと」は違います。
目の前が日本海という典型的な海の宿なのに、まず建物がきれい!
といってもビカビカした新しい宿だというのではなく、隅々まで掃除が行き届いていて、清潔で、気持ちがいいのです。天井が高くて明るいのです。
おかみさんとその家族の応対が気持ちいいのです。
はっきりと「宿」というものがどういうものかを自覚しているのです。
悲しいかな、こういう民宿はきわめて珍しい存在だと言わざるを得ません。
そして客室の広さにも驚かされます。一人旅でも、広々とした素敵な部屋に泊めてくれます。
「お客さんを狭い部屋に詰め込みたくない」、
「あまりたくさんお客を泊めると、サービスが行き届かなくなる」
というおかみのモットーが反映されてるわけです。
で、海の宿ですから食事がまたうれしい。文字通り目の前の海で獲れたものが食卓に出てくる。
そのときの漁次第で、なにげなく前浜ものの毛ガニやアワビ、ウニ、エビが出てくる。土木作業で長期滞在しているお客がアワビの水貝にびびって「わあっ」なんて驚いたりしている。
そんな高級食材でなくても、鮮度と扱い方が違うので、普通に獲れる魚の煮付けや焼物がまたうまい。
これで1泊2食5,800円。夢のようなお宿ですな。
寿都や島牧のほかの宿でひどい目に遭った人たちが、次々とやってきては二度とよそに行かなくなるという伝説の民宿でもありまして、1年前から予約を入れる人もいるくらいなので、泊まるのなら早めにTELを。 (もやしもん)