今回はいい宿ですのでご安心を(悪い宿のほうがおもしろいとゆー声もちらほらあるが)。
壮瞥町の温泉は、大きく分けて洞爺湖温泉、壮瞥温泉、蟠渓温泉、弁景温泉と4つあります(おおっ、今回はためになるぞ)。その中でも、未だに湯治場っぽい雰囲気をかもし出している貴重な温泉が蟠渓で、数軒ある宿の中で最も建物が新しく大き
いのが「ばんけい温泉 湯人家」。北湯沢のほうから車で走ってくると、道が集落のはずれでほぼ直角にカーブし、古くて幅の狭い橋を渡って市街地や洞爺湖に向かうのですが、ここを曲がらずに森の中に直進していくと、「えっ、こんな所に」という感じで建ってます。まさしく川のほとり、森の中にたたずむ一軒宿の風情で、とにかく静かで雰囲気がよいのです。フロントのおっちゃんも森の妖精のような好もしさ(どーゆー意味だ)。館内は明るくきれいで、大浴場も窓が広く清潔なタイル張りで、非常に気持ちがよろしい。特筆したいのは、客室が和室なのにトイレ付きで(小ぢんまりした温泉宿では珍しい)、簡単な炊事ができるミニキッチンがついていること。さすが湯治場。といっても自炊を強要したりせず、ちゃんと朝夕食を出してくれる。これがまた素朴で味がいい。きちんと手をかけて作った料理という感じで、山菜や野菜、魚などの素材のよさがわかる。ご馳走なのに、むしろ体によさそうな印象なのです。レストランもあって、麺類やステーキがメニューに載っており、なぜか中華やきそばが絶品という意外性もうれしい。夜、露天風呂に入ると、わざと照明が暗くしてあり、目の前にある川べりの木々がライトアップされていて、聞こえるのは梢をわたる風の音、虫の声、川のせせらぎだけ。なごむっ、なごむぞこれはっ。これで1泊2食8500円……どこの温泉宿もこうだといいんですがねー。(もやしもん)