2007年11月15日

払う価値あり知床第一 餃子が刺さった啄木亭

宿の「食」に関するお話B・ホテルのバイキング料理考・後編(湯元啄木亭と知床第一ホテル)

前回のカラカミ観光に続いて、今回は料理のインパクトでは勝るとも劣らない野口観光と参りましょう。
函館湯の川温泉の「湯元啄木亭」。ライトアップされた大きな内庭を眼下に眺めながら食堂に向かいます。さして広くないレストランに、ちんまりと料理が並んでいます。なるほど。やたらに品数を並べるのではなく、味と素材で勝負しようという趣旨なのですね。席に案内してくれるスタッフの動きや表情がゾンビのようにぎこちないのもご愛嬌。バイキングの説明を始めると、ほとんどマニュアルを棒読みしているだけの素っ気なさ。しかもカミました。なるほど。きっと地元のバイト学生なのですね。野口観光は函館の貧しい勤労学生に働き口を提供しているのだ。
きっとそうだ。さあ料理を取りに行きましょう。……なんだか寂しいメニューばかりが並んでいます。スーパーの惣菜コーナーのようにみすぼらしい揚げ物。まずそうな漬物。油っぽい焼きそば。ふた付きの器を開けてみると一口餃子。やれやれ、これでも食べてみますか。……痛えっ!なんだこの激痛は?血が!口から血がぁっ!……な
んてこった。餃子がカラッカラに乾いてプラスチックのような硬さとなり、皮が合わさって尖った先が歯グキに突き刺さったのでした。頭に来て、皮を引きちぎって軟らかいところを食べます。まずい。というより安っぽい味。ひと昔前の学校給食……いや、業務用冷凍食品の味ですね。食材にはまったく予算を割かない、野口観光のいさぎよい金儲け主義がきらりと光ります。サラダを食べてまずいと思ったのも初めての体験でした。体に悪そうな味のドレッシングに爆笑です。
──さて、ここで対極にあるバイキング料理を紹介しておきましょう。斜里町ウトロ温泉の「知床第一ホテル」!ここのバイキングは衝撃でした。レストランがカラカミ系列ホテルに負けないほど広大なのですが、実物大の漁船らしきものが飾り付けに置いてあったりして、立体的で工夫を凝らした楽しい空間に、うまそうな料理がこれでもかとばかりに並んでいます。そう、見た目がまず全然違うのです。案内してくれたスタッフも教育が行き届いていて、厭味がなく、ハキハキしていて気持ちがいい。某ホテルとはえらい違いです。さあ食べてみましょう……うまい!信じられないことに、握り寿司がうまいので
すよ。バイキングで寿司がうまいと思ったのも初めてです。決して高級なネタではな
いのですが、きちんと素材を吟味しているという感じです。それからもう、和洋中の何を持ってきてもうまい。デザートの杏仁豆腐ですら、そんじょそこらの中華料理屋で出すものよりはるかにうまい。翌日の朝食バイキングは、試しに洋食で統一してみましたが、これまた驚き。何の変哲もないスクランブルエッグでさえ、カラカミや野口で食べたものよりはるかにうまい。卵にバターで火を通すだけの超シンプルな料理でこれだけの差が出るのは、素材だけではなく料理人の腕、姿勢からして違うとしか考えられません。正直、このホテルになら、金を出してバイキングを食べに来る価値はあると思いました。カラカミや野口の宿には……まあ……向こうから金を出してくれるのなら、泊まりに行ってやらないこともないかもしれないと思うこともないとは必ずしも言い切れないです。ただし素泊りで。(もやしもん)
posted by elly at 12:08| ☔| Comment(40) | TrackBack(5) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月01日

食べるほうまで和洋中?THEカラカミバイキング

宿の「食」に関するお話A ホテルのバイキング料理考・前編(ニュー阿寒ホテルと洞爺サンパレス)
さて、新シリーズ第2弾は、かねてから話題の種になっている、観光ホテルのバイキング料理について。ふだんは出張などでビジネスホテルや民宿にばかり泊まっているのですが、ごくたまには観光ホテルにも投宿するのです。で、そんな貴重な体験談をいくつか。
まずは旅ブログで叩かれる常連・カラカミ観光のホテルから行きましょう。阿寒湖温泉の「ニュー阿寒ホテル」と洞爺湖温泉の「洞爺サンパレス」。まずはどちらもレストランの規模に圧倒されます。特にサンパレスはとんでもない広さです。知り合いが来ていてもわかりゃしません。誰かが拉致されても気づきゃしません。しつけの悪いガキが全速力で駆け回ってテーブルに激突しています。料理の品数も和洋中まんべんなく揃っていて圧巻です。さあ食べてみましょう。……うん、まあ、こんなもんなのでしょう(遠い目をしながら)。はなっから高級な料理の味付けなどねらっていないんですな。大衆的な料理を大衆的な味と原価で。それなりそれなり。食材のレベルが低所得層向けなので(あ、すっかりひがみ体質になってしまった)、和食系の寿司とか刺身とか、特に魚を使ったものがキビシイ。和食以外でも、たまに大ハズレを引き当てることがあって、「うおお何だこりゃあっ」などと大勢でぎゃあぎゃあ文句を言いながらノリで食べるにはうってつけでしょう。そう、旅においては、まずい食事も話の種なのですよ(さらに遠い目をしながら)。味付けは総体的に濃いめが基本で、目を閉じて食べるとなんの料理だかわからなくなるのもスリリングです。何品も皿に取ってきて食べ進むにつれて、舌が疲れてくるというか飽きてくるというか、このへんはやはり素材の良し悪しがローブローのように後からじわじわ効いてきます。……それにしても、レストラン内にいる客たちの何パーセントが日本人なのでしょうか。聞こえてくる言葉は中国語、韓国語、英語のリミックス。白人は一人もおらず、うじゃーと座っている全員がアジア系で、まったく見分けがつかない!イスの上に片膝を立てて食べているド派手な服装のばーさん、真っ赤なジャージに半ズボンをはいた悪徳不動産業者みたいなおっさん、空いている席が山ほどあるのに他人が食べ散らかしていった席にわざわざ座って食べ始めるじーさん、五メートルほど離れたところに知り合いを見つけて突然すさまじい金切り声で呼びつけるおばはん、レストランなのにバックパックを背負ってホームレスみたいな格好であちこちうろうろほっつき歩くねーちゃん、全部外国人です。その雑然たる食事風景の落ち着かなさといったらもう、食べ物の味も何もあったもんじゃありません。東南アジア某国の巨大な多国籍屋台村に迷い込んだような錯覚を起こしてしまいます。なにやらショーらしきものを見せることもあるらしく、ステージに中国語で書かれた大きな張
り紙がしてあるのもパワフルに興ざめを引き起こします。そう、そこはもう北海道に出現したブレードランナーの世界……──後編に続く。(もやしもん)
posted by elly at 15:03| ☔| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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