さて、新シリーズ第2弾は、かねてから話題の種になっている、観光ホテルのバイキング料理について。ふだんは出張などでビジネスホテルや民宿にばかり泊まっているのですが、ごくたまには観光ホテルにも投宿するのです。で、そんな貴重な体験談をいくつか。
まずは旅ブログで叩かれる常連・カラカミ観光のホテルから行きましょう。阿寒湖温泉の「ニュー阿寒ホテル」と洞爺湖温泉の「洞爺サンパレス」。まずはどちらもレストランの規模に圧倒されます。特にサンパレスはとんでもない広さです。知り合いが来ていてもわかりゃしません。誰かが拉致されても気づきゃしません。しつけの悪いガキが全速力で駆け回ってテーブルに激突しています。料理の品数も和洋中まんべんなく揃っていて圧巻です。さあ食べてみましょう。……うん、まあ、こんなもんなのでしょう(遠い目をしながら)。はなっから高級な料理の味付けなどねらっていないんですな。大衆的な料理を大衆的な味と原価で。それなりそれなり。食材のレベルが低所得層向けなので(あ、すっかりひがみ体質になってしまった)、和食系の寿司とか刺身とか、特に魚を使ったものがキビシイ。和食以外でも、たまに大ハズレを引き当てることがあって、「うおお何だこりゃあっ」などと大勢でぎゃあぎゃあ文句を言いながらノリで食べるにはうってつけでしょう。そう、旅においては、まずい食事も話の種なのですよ(さらに遠い目をしながら)。味付けは総体的に濃いめが基本で、目を閉じて食べるとなんの料理だかわからなくなるのもスリリングです。何品も皿に取ってきて食べ進むにつれて、舌が疲れてくるというか飽きてくるというか、このへんはやはり素材の良し悪しがローブローのように後からじわじわ効いてきます。……それにしても、レストラン内にいる客たちの何パーセントが日本人なのでしょうか。聞こえてくる言葉は中国語、韓国語、英語のリミックス。白人は一人もおらず、うじゃーと座っている全員がアジア系で、まったく見分けがつかない!イスの上に片膝を立てて食べているド派手な服装のばーさん、真っ赤なジャージに半ズボンをはいた悪徳不動産業者みたいなおっさん、空いている席が山ほどあるのに他人が食べ散らかしていった席にわざわざ座って食べ始めるじーさん、五メートルほど離れたところに知り合いを見つけて突然すさまじい金切り声で呼びつけるおばはん、レストランなのにバックパックを背負ってホームレスみたいな格好であちこちうろうろほっつき歩くねーちゃん、全部外国人です。その雑然たる食事風景の落ち着かなさといったらもう、食べ物の味も何もあったもんじゃありません。東南アジア某国の巨大な多国籍屋台村に迷い込んだような錯覚を起こしてしまいます。なにやらショーらしきものを見せることもあるらしく、ステージに中国語で書かれた大きな張
り紙がしてあるのもパワフルに興ざめを引き起こします。そう、そこはもう北海道に出現したブレードランナーの世界……──後編に続く。(もやしもん)