2007年11月15日

払う価値あり知床第一 餃子が刺さった啄木亭

宿の「食」に関するお話B・ホテルのバイキング料理考・後編(湯元啄木亭と知床第一ホテル)

前回のカラカミ観光に続いて、今回は料理のインパクトでは勝るとも劣らない野口観光と参りましょう。
函館湯の川温泉の「湯元啄木亭」。ライトアップされた大きな内庭を眼下に眺めながら食堂に向かいます。さして広くないレストランに、ちんまりと料理が並んでいます。なるほど。やたらに品数を並べるのではなく、味と素材で勝負しようという趣旨なのですね。席に案内してくれるスタッフの動きや表情がゾンビのようにぎこちないのもご愛嬌。バイキングの説明を始めると、ほとんどマニュアルを棒読みしているだけの素っ気なさ。しかもカミました。なるほど。きっと地元のバイト学生なのですね。野口観光は函館の貧しい勤労学生に働き口を提供しているのだ。
きっとそうだ。さあ料理を取りに行きましょう。……なんだか寂しいメニューばかりが並んでいます。スーパーの惣菜コーナーのようにみすぼらしい揚げ物。まずそうな漬物。油っぽい焼きそば。ふた付きの器を開けてみると一口餃子。やれやれ、これでも食べてみますか。……痛えっ!なんだこの激痛は?血が!口から血がぁっ!……な
んてこった。餃子がカラッカラに乾いてプラスチックのような硬さとなり、皮が合わさって尖った先が歯グキに突き刺さったのでした。頭に来て、皮を引きちぎって軟らかいところを食べます。まずい。というより安っぽい味。ひと昔前の学校給食……いや、業務用冷凍食品の味ですね。食材にはまったく予算を割かない、野口観光のいさぎよい金儲け主義がきらりと光ります。サラダを食べてまずいと思ったのも初めての体験でした。体に悪そうな味のドレッシングに爆笑です。
──さて、ここで対極にあるバイキング料理を紹介しておきましょう。斜里町ウトロ温泉の「知床第一ホテル」!ここのバイキングは衝撃でした。レストランがカラカミ系列ホテルに負けないほど広大なのですが、実物大の漁船らしきものが飾り付けに置いてあったりして、立体的で工夫を凝らした楽しい空間に、うまそうな料理がこれでもかとばかりに並んでいます。そう、見た目がまず全然違うのです。案内してくれたスタッフも教育が行き届いていて、厭味がなく、ハキハキしていて気持ちがいい。某ホテルとはえらい違いです。さあ食べてみましょう……うまい!信じられないことに、握り寿司がうまいので
すよ。バイキングで寿司がうまいと思ったのも初めてです。決して高級なネタではな
いのですが、きちんと素材を吟味しているという感じです。それからもう、和洋中の何を持ってきてもうまい。デザートの杏仁豆腐ですら、そんじょそこらの中華料理屋で出すものよりはるかにうまい。翌日の朝食バイキングは、試しに洋食で統一してみましたが、これまた驚き。何の変哲もないスクランブルエッグでさえ、カラカミや野口で食べたものよりはるかにうまい。卵にバターで火を通すだけの超シンプルな料理でこれだけの差が出るのは、素材だけではなく料理人の腕、姿勢からして違うとしか考えられません。正直、このホテルになら、金を出してバイキングを食べに来る価値はあると思いました。カラカミや野口の宿には……まあ……向こうから金を出してくれるのなら、泊まりに行ってやらないこともないかもしれないと思うこともないとは必ずしも言い切れないです。ただし素泊りで。(もやしもん)
posted by elly at 12:08| ☔| Comment(40) | TrackBack(5) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月01日

食べるほうまで和洋中?THEカラカミバイキング

宿の「食」に関するお話A ホテルのバイキング料理考・前編(ニュー阿寒ホテルと洞爺サンパレス)
さて、新シリーズ第2弾は、かねてから話題の種になっている、観光ホテルのバイキング料理について。ふだんは出張などでビジネスホテルや民宿にばかり泊まっているのですが、ごくたまには観光ホテルにも投宿するのです。で、そんな貴重な体験談をいくつか。
まずは旅ブログで叩かれる常連・カラカミ観光のホテルから行きましょう。阿寒湖温泉の「ニュー阿寒ホテル」と洞爺湖温泉の「洞爺サンパレス」。まずはどちらもレストランの規模に圧倒されます。特にサンパレスはとんでもない広さです。知り合いが来ていてもわかりゃしません。誰かが拉致されても気づきゃしません。しつけの悪いガキが全速力で駆け回ってテーブルに激突しています。料理の品数も和洋中まんべんなく揃っていて圧巻です。さあ食べてみましょう。……うん、まあ、こんなもんなのでしょう(遠い目をしながら)。はなっから高級な料理の味付けなどねらっていないんですな。大衆的な料理を大衆的な味と原価で。それなりそれなり。食材のレベルが低所得層向けなので(あ、すっかりひがみ体質になってしまった)、和食系の寿司とか刺身とか、特に魚を使ったものがキビシイ。和食以外でも、たまに大ハズレを引き当てることがあって、「うおお何だこりゃあっ」などと大勢でぎゃあぎゃあ文句を言いながらノリで食べるにはうってつけでしょう。そう、旅においては、まずい食事も話の種なのですよ(さらに遠い目をしながら)。味付けは総体的に濃いめが基本で、目を閉じて食べるとなんの料理だかわからなくなるのもスリリングです。何品も皿に取ってきて食べ進むにつれて、舌が疲れてくるというか飽きてくるというか、このへんはやはり素材の良し悪しがローブローのように後からじわじわ効いてきます。……それにしても、レストラン内にいる客たちの何パーセントが日本人なのでしょうか。聞こえてくる言葉は中国語、韓国語、英語のリミックス。白人は一人もおらず、うじゃーと座っている全員がアジア系で、まったく見分けがつかない!イスの上に片膝を立てて食べているド派手な服装のばーさん、真っ赤なジャージに半ズボンをはいた悪徳不動産業者みたいなおっさん、空いている席が山ほどあるのに他人が食べ散らかしていった席にわざわざ座って食べ始めるじーさん、五メートルほど離れたところに知り合いを見つけて突然すさまじい金切り声で呼びつけるおばはん、レストランなのにバックパックを背負ってホームレスみたいな格好であちこちうろうろほっつき歩くねーちゃん、全部外国人です。その雑然たる食事風景の落ち着かなさといったらもう、食べ物の味も何もあったもんじゃありません。東南アジア某国の巨大な多国籍屋台村に迷い込んだような錯覚を起こしてしまいます。なにやらショーらしきものを見せることもあるらしく、ステージに中国語で書かれた大きな張
り紙がしてあるのもパワフルに興ざめを引き起こします。そう、そこはもう北海道に出現したブレードランナーの世界……──後編に続く。(もやしもん)
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2007年10月17日

スタイリッシュレストランでのランチに・・・?

宿の「食」に関するお話@ クロスホテル札幌(札幌市中央区北2条西2丁目23)

10月といえば番組改変期。というわけで宿の「食」に焦点を当てた新シリーズを始めてみます(意味不明)。
第1回目は、札幌の都心部で今年7月に新しくオープンした「クロスホテル札幌」。ここはもう、みつけにくい正面玄関からエントランス、エスカレーター、フロント、ラウンジ、レストラン、客室、大浴場と、すべてにおいてスタイリッシュでラグジュアリーかつシンプルでスマート、プログレッシヴ、アーバン、センシティヴ、シック、ファンクショナル、ええっと横文字であと使える言葉は……という具合に(どういう具合だ)徹底したデザイナーズホテルです。
今回のテーマは「食」なので、奮発してホテル内にあるレストラン・アゴーラへと行ってみました(といってもランチですが)。ううむ、やはりお洒落ですな。全体を統一する色合いといい照明器具といい家具といい、隙がありませんっ。幼稚な表現をお許し願えれば、「ドラマや映画に出てきそうな」雰囲気に圧倒されます。客層も、いかにも
といった感じのドレスアップした若い女性グループや、「ぼくの好物はふぉあぐらです」なんて言いそうな血糖値の高そうなお子様を連れたリッチファミリーばかり。壁際で落ち着いて食事がしたかったのですが、なぜか店内中央の思いきり落ち着かない席に案内され、きっと壁側の席はすべて予約が入っているのだな、と思って黙って席につきました。
さあラグジュアリーでスタイリッシュで(中略)な食事の始まりです。ガラスのパレットのような皿が運ばれてきました。おお!なんて美しい食器なのでしょう!でも、表面になにか野菜のクズのようなものがこびりついています。きっと間違って他のお客の食べ残しを持ってきてしまっ……ええっ、これが?これが前菜なんですか?ううむ、さすがセンシティヴでアーバンで(中略)なお店です。量はひたすら少なく上品に。フォークで野菜をかき集め、一口で飲み込みます。少なすぎて味がわからないのは、きっと私の修行が足りないのでしょう。次の皿……ううむ遅い!家族と行ったのですが、会話のネタが続きません。ああやっと来た。十数秒で飲み込みます。次の皿……あああ遅い!なんだか疲れて腹が立ってきました。そういえば、どうも落ち着かないと思ったら、天井から聞こえてくる音楽のボリュームが高すぎるんですな。料理のボリュームもこれくらいだったらいいのに。それに、やたらにたくさんいるお洒落な服装の従業員が、厨房のほうから出入りする様子がどうにも目障り。なぜなのかと観察してみると、あまりにスタイリッシュな構造のため、厨房の出入口が狭くて動きに無駄が多くなり、一種の渋滞を引き起こしてるんですよ、これ
が。さて、ようやく私のメイン料理が来ました。味はいいと思います。いい食材を使って丁寧に作っている感じが伝わってきます。ただ、やはりボリュームというか満足感が今ひとつではあります。……あれ?私がメインを食べ終えても、家族の分のメイン料理が来ません。いくらなんでも遅すぎやしませんか。空腹で家族の顔が険しく
なってきたじゃないですか。そのとき、イケメンの従業員が足取りも軽やかにやってきて、「お待たせしてすみませぇん。これはサービスでっす」と言って小さな生ハム料理を置いていきました。こんなものを作っている暇があったらさっさとメインを持ってこんかい!ようやくデザート。昼飯なのに、軽く2時間かかりました。ん?このデザートの食材は何なのだろう?運んできた女性スタッフに聞いてみると、
「しょ、少々お待ちください!」と大慌てで厨房に戻っていきました。自分たちが客に出しているメニューを把握していないのですね。さすがスタイリッシュでプログレッシヴかつ……(しつこい)。あれ?気がついてみると、壁際の落ち着いた席に
は、結局だれも来ませんでした。ではなぜこんなど真ん中の席に座らせたのでしょう。いやがらせでしょうか。しかも追い打ちをかけるように、近くの壁際の席に料理を運んできた従業員が、私たちの席のすぐそばに食器をセッティングし始め、体を動かすと肘がぶつかり、非常に不愉快だぞこら。ああ、いやいや。これが都会派レストランのやり方なのだ、私たち田舎者が慣れていないだけなんだ、きっとこんな席に座らせられたのは何か私たちに落ち度があったのだ、申し訳ない申し訳ない。……というわけで、いたらない私たち家族のために、不必要に大勢いらっしゃった従業員の方々にランチコースごときで2時間半も働かせ、大変なご迷惑をおかけいたしました。この場を借りましてお詫び申し上げます。(もやしもん)
posted by elly at 13:21| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月04日

東横インとルートイン比較論なんちて

お久しぶり。さて、前回と同じノリで、全国展開するビジネスホテルの2大チェーン、東横インとルートインをちょっくら比較してみましょう。
といっても、どちらも近年になって雨後のタケノコよろしく全国各地ににょきにょき増やしまくっているホテルなので、客室や館内の設備関係で大きな違いはナッシングですね。んでもってどちらも駅前とかに建てることが多くて立地も大差ない。駐車事情も、狭っ苦しい立体
駐車場で別料金がかかる上、順番待ちがうっとうしいのは似たり寄ったり。ではどこで評価が分かれるのか?
そーですまずは食事です。この2大グループを比較すると、どうしても食事と価格の問題が出てこざるを得ないですね。
ルートインのほうは、だいたい1階にレストランがあって、そこで朝食バイキングと夕食を有料で食べる形。
一方の東横インは、朝食の無料サービスが売りの一つで、おにぎりと味噌汁、漬物、コーヒーがタダ。しかも、札幌とかの一部の店舗以外では、夕食としてこれまた無料でカレーライスを恵んでくださる。金のない出張族には、自然災害で何もかも無くしたあとでたどり着いた無料配給所のようなホテルです(んな大仰な)。
ここで1泊の宿泊料を考えてみると、ルートインはたいてい東横インより500〜600円くらい低めに設定しているんだけれども、東横インは贅沢さえ言わなければ2食とも無料で、片やルートインは朝食バイキングが500円で夕食は勝手に注文して食べれや方式なので、夕食ぶんだけ自動的に東横インより高くなってしまうんですね、実は。
それと、両方のホテルに泊まったことのあるビジネスマンなら、よほど鈍感力の強い人(by渡辺淳一)でない限り、ある決定的な違いに気づくはず。それは、ホテル全体を包む心配り、言い換えれば細やかさの差。東横インはスタッフが全員女性という珍しいチェーンで、それがフロントの応対、電話の受け答え、館内の目に付く部分に対するさ
りげない気配りや整理整頓などに表われていて、その点、どうしてもルートインは見劣りがするというか、全体にザツで行き届かない・だらしない部分が見えてしまう。
いかに昨今、人前でタバコ吸ってタン吐いてガス漏らして携帯でプライベート垂れ流しにしてへっちゃらなオナゴが増えたとはいえ、やはり対人的なサービス業では女性にかなわない部分が多いのですよ。もうこれは理屈ではなくて、わかりやすい一例を挙げれば、疲れ果ててホテルに戻って優しそーなおばちゃんにあたたかい無料の手作りカレーを手渡されたら、それだけで癒されちゃうんですね。しかも客室はものすごいレベルできれいに掃除されてるし。ルートインはなんつーか……事務的というか企業が金儲けでやってる姿勢が丸出しというか……店舗によってはひどく生意気なフロントがいたり……ロビーの共同トイレに入ったら床一面にトイレットペーパーがぶちまけられてたり……いい印象がひとつもないんだなー。ルートインびいきの客は、温泉がついてるだけでよしとしてるらしいけど、わたしゃ仕事で泊まるビジネスホテルの温泉なんかどうでもいいと思ってるので悪しからず。(とゆーか、大浴場でのバカ客のマナーの悪さにうんざりしてるので) (もやしもん)
posted by elly at 11:05| ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月18日

惜しい!の宿C

ホテル美園(網走)とビジネスホテルフレスコ本館(八雲)

さて、今回は特別企画で“対照的な惜しい宿”を2軒取り上げます。

1軒目は網走市の「ホテル美園」。いやあ老朽化してますねえ。どこを見ても古くてぼろい。フロントはほとんど物置きというか、奥の部屋にガラクタが適当に積まれているのが丸見えです。風情がありますなあ(どこがだ)。すぐ脇が暗めの食堂。フロントに人がいることはあまりなく、「すみませーん!誰かいませんかあー!」と大声で呼ぶと、食堂の奥の台所からおかみさんが走り出てきます。時間帯によっては、食堂でむしゃむしゃ食事をしていることもあります。さあ、部屋に上がりましょう。ううむ、なんという
狭くて天井の低いエレベーターでしょう。閉所恐怖症の人が乗ったら即死してしまいそうです。金属製のカンオケに入れられて焼き場に運ばれていくようなゴージャスな気分がこみ上げてきます。部屋に入ると、予想にたがわずカーペットに無数のシミが。ホテルの歴史を感じますね。浴室に入ると、四方八方に黒カビが点々と生えています。カビといえども命あるもの。むやみに殺したりしないおかみの優しさがひしひしと感じられます。
……さて、今回はいつもと逆にマイナス要素から始めましたが、いったいどこに惜しいと言わせるだけの長所があるのか、おわかりでしょうか?それ
は、第一に宿泊料の安さ。駅の目の前でサウナや無線LAN完備でシングル4,200円ですから、汚かろうと狭かろうとカビていようとOK!第二に、おかみさんのキャラクターがなかなかよろしい。明るくて元気で気さくで親切、面倒見もよさそうです。安くて応対がよければ、宿は七難隠してしまうんですよ。

──で、2軒目は道南・八雲町の「ビジネスホテルフレスコ本館」。内部もわりと清潔で古さを感じさせず、宿泊料もシングル5,000円と手ごろ。客室もそこそこきれいで、狭苦しくもありません。ビジネスホテルとしては合格ラインだといえましょう。ではなにが惜しいのか。
そう、またもやネックは「人」。フロントの女性の応対のまずさにあります。なんというか、アマチュア丸出しというか、「私はバイトです難しいことは一切質問しないでください、ほっといてください、カギ渡したらとっとと部屋にすっこんで二度と出てこないでください」とゆー感じなのですね。有線LANでインターネットができるというので、自前のパソコンにケーブルをつないでみても、さっぱり開けない。仕方なくフロントに行って訊くと、あたふたと小パニック状態に陥ります。おびえた目を見張り、おどおどと落ち着かなくなり、隣りにいる相方のねーちゃんとヒソヒソ相談した
挙句に「わかりません」てな具合です。結局、らちがあかないので自力で何とかしようと頑張り続け、いいかげん諦めムードになったときに、ふとホテルの説明書を見ると、「インターネット接続のためのLANカードをお貸ししております。フロントまでお申し付けください」と書いてあるではありませんか!頭に来てフロントに駆け下りていくと、すでにバイトねーちゃんは帰ってしまっていて、替わりにむっさい顔をしたおっさんが電話番していました。LANカードのことなど一言も教えてくれなかったと苦情を言うと、「へえー。そうですか」と他人事モードのお気楽な返答。謝りもせずに奥からLANカードを持ってくると、「保証金、いただきますからね」とすましたツラでぬかし、2,000円を預けるはめになりました。今までホテルにもずいぶん泊まりましたが、これほど職業意識のかけらもない無能で無礼な人材ばかりをかき集めるのは並大抵のことではなかったでしょう。「いかにお客様を不快にさせて帰すか。そのための苦労は惜しまない」というオーナーのいなせな心意気がうかがえるホテルでした。(もやしもん)
posted by elly at 09:59| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月03日

究極の宿・・北海道の宿はこんなにすごい!

これも究極の宿!いわない温泉 高島旅館(岩内町字野束505 TEL0135-61-2222)

久々に「いい宿」をピックアップしてみましょうか。いつぞや紹介した洞爺の「フェニックス洞爺クラブ」と並んで、私のお気に入り・とっておきの宿「いわない温泉高島旅館」です。
ここは、うまいものに目がない人にとっては必須の宿という感じで、かなり知られた存在ではあります。岩内のなだらかな山の上にあって、ロケーションは抜群。すぐ近くにはパッとしないホテルや、やたらバカ高い木材を使っていることを自慢たらたらで一流ぶって天狗になったくせに料理が今いちと評判の高額旅館(高級、ではない)もありますが、お奨めは断然ここです。まず宿の造りがいいんですね。華美ではないけれど上質なデザインで品がいい。エントランスから靴のまま入ることができ、岩内の海を一望できる小ぢんまりしたラウンジまで、全体にヨーロッパの別荘を想わせるような居心地のいい高級感が漂っています。それに、なによりここは従業員さんたちの応対がすごく気持ちいい!丁寧なのにさわやかで押しつけがましくなく、本当に濃やかに気を遣ってくれているのがわかるんですよ。
さらに、ここの社長は本物の料理人で、控えめで決して偉ぶったりせず、これまた気持ちのいい人なんですな(前回、「惜しい!の宿B」で取り上げた某漁師の某ホテルにぜひとも見習わせたいと切に思う今日このごろ)。
さて、ここのお風呂は源泉かけ流し温泉で、本当に落ち着ける木の温もり満点の内風呂に加え、丸く平たい桶のような珍しい露天風呂もあって、山の風景に囲まれてのんびり浸かるのがこたえられません。
全部で14部屋しかない上、正統派の料理旅館なので、他人に迷惑をかけることをなんとも思わない小うるせえバカ子連れ客やアホ中年出張族はほとんど来ないし、部屋数が少ないので温泉も食事も落ち着いて楽しめるのが非常にうれしい。
さて、夕食は部屋食です。清潔で気持ちのいい和室で待っていると、はじめに仲居さんがやって来るや、
「アワビはどうやって召し上がりますか」とえらいことを訊いてくれます。その結果、ひとつはその場で七輪による炭火焼きに、ひとつは刺身にして、ひとつは鍋でいただくという事態に。こんな贅沢をしていていいのでしょうか。バチが当たらないでしょうか。帰ってみたら自宅が全焼してないでしょうか。
ほかにも、活ヒラメ1尾を使った姿盛りの刺身、日本海・積丹で獲れる高級魚オオバ(モンケともいう。正式名称はハツメ)の塩焼き、アワビの入った浜鍋にはカニが混浴しているという徹底ぶり。これにデザートがつくのですから、少食の人では食べきれません。いいのでしょうか。帰りに運ちゃんが爆睡ぶっこいた大型トラックと正面衝突したりしないでしょうか。
そして、もう一つ特筆しておきたいのは、食事に使われる器の素晴らしさ。ここのご主人は器に凝る人らしく、翌日の朝食にも、思わず「これ売ってください!」
といいたくなるような食器が惜しげもなく使われています。もちろん味も抜群で、北海道の朝食のうまい宿ベスト5に入れてあげたいくらいです。
これだけ高級食材をたっぷり使った“美味尽くし温泉添え快適サービス風味”で、1泊2食がせいぜい1万5千円です。もうほかのがさつでメシがまずいくせに値段の高い温泉旅館なんか行けませんわ。(もやしもん)

posted by elly at 12:54| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月22日

惜しい!の宿B・ホテル大宝(広尾町並木通東3)

さてシリーズ3回目は、十勝地区の端っこ広尾町にある「ホテル大宝」。本っ当に惜しい宿なんですねー、ここは。
港に近く、国道から少し離れているため、環境は静か。
建物は広尾町で一番見栄えがするというか、真っ白な外壁に堂々たる造りで、駐車場も広い。
併設されたちょっといい感じの食事処の前には小粋な石庭があります。
小さな港町の場合、ホテルとは名ばかりで木造だったり旅館だったりフロント(というより帳場)で部屋のカギをもらおうとしたら「カギぃ?いるの?なんで?」と素っ頓狂な顔で尋問されたりするのも珍しくなかったりするのですが、ここはちゃんとホテルです。その証拠にフロントでカギをくれます。
部屋にはバス・トイレ、冷蔵庫がついています。面積も広く、なかなか清潔です。大浴場もあって、サウナさえ備えています。
食事処での夕食は、量も味も満足の行く水準です。特に海産物の鮮度とうま
さは大したものです。
従業員の応対も悪くありません。
しかもここは宿泊料もリーズナブルと来ている。
……さあ、ここまで長所を並べ立ててくると、いつにも増して、いったいどこが「惜しい!の宿」なのかむくむくと疑問が湧きあがってきたのではあ
りませんか?それではお教えいたしましょう。
それはオーナーのキャラクターです。
この宿のキャッチフレーズは、“漁師が創ったホテル”というものらしいのですが、それが最大の長所でもあり欠点でもあるのですね。
どういうことかというと、夕食の時間に食事処に入っていくと、テーブルの一つを占領して、赤鬼のようなむぁっかっかのツラでウイスキーをがぶ飲みしているガラの悪いオヤジがいたのです。しかもヘビースモーカーで、酒の肴だとばかりにくっさいヤニ煙を店じゅうにまき散らしています。ほとんどのお客がタバコを遠慮している中、とんでもない暴力です。近くのテーブルで食事している女の子2人連れが露骨にいやな顔をして見ているのに、まっ
たく気づかない。ああっ、なにを勘違いしたのか、「うまいべ、ここのサカナ!」などと酔っ払って話しかけたりして、ますます軽蔑されています。その上、時おりでかいダミ声を張り上げ、厨房のほうに何やら偉そうに吠え叫んでいます。なんという迷惑か。なんという非常識か。いったいどこのヤ○ザかと思っていたら、これが噂の漁師オーナー、当ホテルの社長だったのです!おおまいがっ!じいざす!はっきり言ってこれは、「メシさえ食わせときゃいいべや。安くてうまいサカナ食わせてんだから文句ねえべや。どーせあとは寝るだけだべ」という態度丸出しです。オーナー自らが最大の長所であり客の楽しみである食事をぶち壊しにしていることに、まったく気づかないし気づこうともしない。サービス業に全然向いていない、というよりはなっから客商売をする姿勢など持っていないんですね。さあ、いったん食事をぶち壊しにされてしまうと、つい先ほどまであれほど素敵だったホテルの中に、急にさまざまなアラが見えてきます。あー、客室の廊下が汚ないですね。壁に何かをこすった痕があるのにほったらかしですね。部屋に入ると、隣りや廊下にいる人の話し声がはっきり聞こえますね。壁や床が薄いんですね。仕方ありませんね。なにせ“漁師の創ったホテル”ですから。メシさえよけりゃいいんですよね。あれっ?朝食に出てきた料理、ゆうべ出てきたものと同じですね。ああ、でも安いからがまんがまん。あれ、きょうは小上がりにオーナーの知り合いが来ているんですね。朝からすごいご馳走です。オーナーが大いばりでやってきて、けさ獲れた魚を出したから食えやとえらそうに言ってます。ああそうか、漁師は知り合いや友人には儲け抜きで大盤ぶるまいするんですね。知り合いでもなんでもないわれわれ一般人はゆうべの残りで十分ですよね、ははははは。ああ、またお客が食事している目の前でヤニをバフバフふかし始めました。けむたくて吐き気がします。でも仕方ないですね、なにせ“漁師が創ったホテル”なんですから。(もやしもん)
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2007年05月24日

惜しい!? の宿・・・第2弾

惜しい!の宿?A・泊村国民宿舎もいわ荘(泊村大字興志内村字茂岩223)

さて、というわけで(どういうわけだ)、「いい宿なんだけどなあ。ちょっと惜しいなあ」というお宿を紹介する個人的企画の第2弾。
積丹半島の南側に位置する泊村の盃温泉郷に、ずどーんとそびえ立つ「泊村国民宿舎もいわ荘」です。温泉郷とはいいながら、はっきり言ってほかの宿は目にも入らない。まず外観とスケールが全然違います。切り立った崖というか巨岩を背に、「なぜこんなところにこんな建物が?」といぶかしみたくなる立派な宿で、すべての客室から弁天岩(目の前の海にじゃまくさく鎮座ましましている)が見えるように配慮したユニークなギザギザ構造も楽しい。
客室は、モダンな見かけによらず和室中心ですが、洋室とともに広くて清潔で快適。食事も、なにせ津波が来たら直撃間違いなしってほど日本海に近いわけで、海のものが新鮮でうまい。何の変哲もないホッケの開きでさえ、近所の漁師さんの手づくりではないかと思われるほどうまい。ちなみに、盃地区はウニがうまい浜でもありまして、痛風持ちでなくて予算さえ許せばウニ三昧もこたえられません。風呂はもちろん天然温泉で、大浴場が珍しい2階建て構造になってます。つまり裸で1階の浴場から2階の浴場へと自由に移動できるわけで、子供にもウケそうな楽しさ。ミニマムながら露天風呂もあり、ついつい長風呂してしまう宿です。──で、なにが「惜しい」のかというと、フロントの応対が悪い。以前、仕事でここに泊まろうとして、昼ごろに電話したところ、横柄な感じのおっさんが応対に出ました。「○日に1泊したいんですが」と言うと、「何人でお泊まりですかあ?」となめた口調で訊いてくる。「1人です」と答えると、妙な間があってから、「あー、あいにくその日はお部屋いっぱいですねえー。申し訳ありませんねえー」と、たちまち誠意ナッシングのお答え。いっぱいだあ?シーズンオフのド平日にぃ?人を疑うことを知らない純朴な私は、電話を切ったあと、「フロント従業員の交替パターンは多忙な時間帯、つまりチェックインが集中する夕方を挟んで遅番、早番と分かれているに違いない」と考え、宿泊客のチェックインが一段落する8時ごろまで待ってから電話を掛けなおしました(どこが純朴だ)。すると案の定、遅番と思われるまったく別の女性スタッフが応対に。「○日に1泊したいんですが」と同じように切り出すと、1秒とおかずに「はい、ご用意できます」との答え。「え?予約でいっぱいじゃあないんですか?」と白々しく訊いてみると、きょとんとした声で「は?いいえ?この日はほとんどのお部屋が空いておりますが」。後日、この地区の事情に詳しい知り合いにこの話をすると、「あー、相変わらずそんなことやってるんだ、あそこ。国民宿舎だからお役所体質のおっさんがいるんだよね。1人で宿泊しようとする客を、勝手にウソこいて断わったりするんだよね」。………いい宿だけど惜しい、というシリーズ
なんですが、考えてみると惜しいどころの騒ぎじゃなくて、サービス業失格の宿かも(2回目にして早くも企画倒れの予感)。
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2007年05月02日

惜しい!の宿@・ホテル野口(大樹町2条通10)

お久しぶり。前回はマイ・ワースト宿の隠し玉を炸裂させたので、今回はいい宿……といっても、いつもただ単にいい宿では面白くないというご批判もあるようなので、「いい宿なんだけどなあ。ちょっと惜しいなあ」というのをご紹介してみます。勿体つけて@なんて入れましたが、これっきりになったらごめんなさい。
さて、大樹町のホテル野口。ここは10年ほど前までは野口旅館と名乗っていました。適度に日本旅館のたたずまいを残していて、廊下や階段が入り組んでいて、奥行きのある複雑な構造が気に入ってました。そして食事がうまい。大樹町は秋サケやシシャモ、カニ、ホッキなどが獲れる漁業の町で、新鮮な魚を使ったその料理は、派手さこそないものの、栄養のバランスが取れた、品のいい好感の持てるもので、ここに泊まるのが楽しみだったものです。
それが突然の完全リニューアル!ショックでしたねー。よもやホテルになるとは、どう頭をこねくり回しても想像すらできなかった。で、行ってみると、小規模ながらなんとも近代的できれいな建物に変身している。「ほんとにここか?」と疑いたくなるほどの変貌ぶりでした。泊まってみて二度びっくり。部屋はまさしくホテル。広くて清潔で、バス・トイレ付きの洋室。2階廊下のどん詰まりには天体望遠鏡やら立派な本棚やらがあって、文庫やコミックが並んでいて、静かで落ち着いた雰囲気をかもし出しています。あの迷路のような旧館のイメージはかけらも残っちゃいません。共同トイレの、あの脳天までキーンと来るようなアンモニアの異臭も皆無(当たり前か)。
全部で14室しかないのも、騒がしくなくて大変によろしい。見違えるように美しくなった食堂で食べる肝心の食事は、相変わらずの美味。食材次第で和食・中華・洋食と、なんでもござれのメニュー構成で、ていねいに作られた一皿一皿がうれしく、いけないと思いつつもおかわりを繰り返してしまいます。
え?なにが「惜しい」のか?はい、たった一つ、宿のオヤジが客商売向きじゃないんですね。別に怖い顔でもないし、客を絞めたりなめ回したりする趣味があるわけでもない、ごく普通のオヤジさんなんですが、なまじ宿がすごくいい感じなので、無愛想で頑なな表情・物腰が必要以上に際立ってしまうんですねー。きっと、まじめ一徹な料理人気質の人で、客扱いが苦手なんだろうなー苦痛なんだろうなーとしみじみ思ってしまいます。腕のいい料理人に、たまに見かけるタイプではないでしょうか。そういう要素がまったく気にならない人にとっては、おそらく十勝南部の宿の中でも屈指の宿でしょう。実は私も気にならないほうで、逆にあれこれと話しかけられたり、やたらと愛想がいい宿のほうがたまらんので、ここは個人的に好きな宿です。(もやしもん)
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2007年02月19日

間違えない宿選びをしてちょうだい!

斜里温泉 湯元館(斜里町西町13-11)
この宿については、今さら私が言うまでもなくあちこちのブログに書かれていますね。
いわく「温泉だけはましな宿」、いわく「お湯さえよければいいという人のための宿」、いわく「この値段じゃしかたねーよ」とまあ、言われ放題です。
果たしてそんなにひどいのか?はい、私はここに泊まって、なぜ横着してウトロまで足を伸ばさなかったのかと自分を責め、呪い、後悔のダンスを踊ってしまいました。
忘れもしない(全力で忘れようと努めたのですが)、あれは初冬の頃、私は斜里の市街地周辺をさんざん彷徨ったあげく、「まさかこのへんではあるまい」と意識的に避けていた暗く寂しい地区に向かいました。ありました。今思えば見つからなければよかったのに。
でも、外観は悪くなかったのです。日本旅館のにおいをかすかに残した構えの建物でした。玄関に立って声をかけると、和服の女将が出てくるべきところを、学生アルバイトのようなねえちゃんがデニム姿で出てきて、ドスドスと足音も荒く客室まで案内してくれます。なんということでしょう(サザエさんの声で)、奥に進めば進むほど、外観から感じた旅館ぽい情緒からマッハの速度で遠ざかっていくではありませんか。柱が、柱というより「木材」にしか見えない。床が、床と呼ぶより「板」としか思えない。さあ、客室に着きました。おおっ、なんてチープなドア!「どこで拾ってきたんですか?」と訊きたいところをぐっと堪え、中に入ります。どきどき。照明がつくと同時に体が凍りつきます。「ろ、牢屋?!」湿っぽく暗い雰囲気の変色した畳の部屋。廊下側の壁を見ると、とんでもない上のほうに奇妙な窓がはめ込んであります。試しに照明を消してみると、廊下の照明の光がこれでもか参ったと言えとばかりにまぶしく差し込んできます。隅のほうにぐしゃっと積んである布団からは異臭がします。じとっとしたすてきな肌触りは、この世のものとも思えません。
食事もワンダフルでした。スリッパのような頑丈さで私の歯に挑戦してきたホッケの開き、ダシのきいていない愉快な汁、私がよくスーパーで買うような冷凍の刺身。もう笑うしかありません。
そして風呂です。無計画に建て増しして入り組んだ建物の暗〜い奥のほうに、それはありました。やたらだだっ広くて寒々とした暗く陰気臭い浴場は、あちこちがカビて不気味に変色し、歩くごとにヌルッ、ヌルッと足裏に不快な感触。モール泉ということですが、おそらく漢字で「藻、おる」と書くのでしょう。そのとき、はっとしました。蛇?いや違う。浴槽の中にホースがぶちこんであったのです。なんておしゃれなんでしょう。ひょっとすると掃除の最中に面倒くさくなってぶん投げて
いったのかもしれません。まあ、人生そういうこともあるでしょう。部屋に戻り、ジメ布団にくるまって横になると、江戸時代の長屋の病人じじいになった気分が最高潮です。電気を消しても、あの迷惑な窓からばんばん光が差し込んできて、部屋の中はとっても明るく陽気なサンシャインルーム。眠ろうと思って頭まで布団をかぶると臭気で窒息しかけます。
翌朝、6000円近い宿泊料をふんだくられ、「もう二度とこんな所に来るんじゃないぞ」と看守さんに言われたような気分で車を発進させました。ふと見ると、宿のすぐそばに荒れ果てた空き地があって、そこに“手づくりリゾート・クリオネ牧場”などと書かれた看板がありました。あとで知ったのですが、ここも湯元館の経営で、中には掘っ立て小屋のようなペンションやら工事現場のプレハブ宿泊所を想わせるライダーハウスやらがあり、共通コンセプトは「建物に金なんかかけてたまるか」というものらしく、どこかから調達してきた材料でド素人が手づくりでこしらえたようなものだということが判明しました。さあ、最近あまりひどい目に遭っていないドMのあなた、旅行に行くならここだ!いっつとらい!(もやしもん)

posted by elly at 17:35| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月15日

湯治場ながら粋な温泉「湯人家」

壮瞥町のばんけい温泉 湯人家(壮瞥町蟠渓8-10)

今回はいい宿ですのでご安心を(悪い宿のほうがおもしろいとゆー声もちらほらあるが)。
壮瞥町の温泉は、大きく分けて洞爺湖温泉、壮瞥温泉、蟠渓温泉、弁景温泉と4つあります(おおっ、今回はためになるぞ)。その中でも、未だに湯治場っぽい雰囲気をかもし出している貴重な温泉が蟠渓で、数軒ある宿の中で最も建物が新しく大き
いのが「ばんけい温泉 湯人家」。北湯沢のほうから車で走ってくると、道が集落のはずれでほぼ直角にカーブし、古くて幅の狭い橋を渡って市街地や洞爺湖に向かうのですが、ここを曲がらずに森の中に直進していくと、「えっ、こんな所に」という感じで建ってます。まさしく川のほとり、森の中にたたずむ一軒宿の風情で、とにかく静かで雰囲気がよいのです。フロントのおっちゃんも森の妖精のような好もしさ(どーゆー意味だ)。館内は明るくきれいで、大浴場も窓が広く清潔なタイル張りで、非常に気持ちがよろしい。特筆したいのは、客室が和室なのにトイレ付きで(小ぢんまりした温泉宿では珍しい)、簡単な炊事ができるミニキッチンがついていること。さすが湯治場。といっても自炊を強要したりせず、ちゃんと朝夕食を出してくれる。これがまた素朴で味がいい。きちんと手をかけて作った料理という感じで、山菜や野菜、魚などの素材のよさがわかる。ご馳走なのに、むしろ体によさそうな印象なのです。レストランもあって、麺類やステーキがメニューに載っており、なぜか中華やきそばが絶品という意外性もうれしい。夜、露天風呂に入ると、わざと照明が暗くしてあり、目の前にある川べりの木々がライトアップされていて、聞こえるのは梢をわたる風の音、虫の声、川のせせらぎだけ。なごむっ、なごむぞこれはっ。これで1泊2食8500円……どこの温泉宿もこうだといいんですがねー。(もやしもん)
posted by elly at 11:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月16日

セキュリティ皆無の客室 ここにあり!

稚内市の天北旅館(稚内市中央2-11-10)

2回続いてすばらしいお宿を紹介したので、今回はとっておきのマイ・ワースト宿の登場です。拍手。
宿の前に着いたとたんに面食らったものです。汚くて古いソバ屋にしか見えません。周囲をぐるりと回ってみても、宿の入口がどこにも見当たりません。仕方なくソバ屋に入って声をかけると、「あ、そこから横に入って」という不条理な指示が。横?よくよく見回すと、玄関が2重構造になっていて物置状態。その奥に小さなドアがあるではありませんか。ほとんどお化け屋敷です。いやな予感を押し殺してドアを開けます。するとどうでしょう!信じられないほど急勾配の、それも今どき珍しい木造階段が!しかも暗い!電球が気休めにしかなっていない!そして殺人的に狭い!両手に荷物を持って壁にこすりつけながら階段を上がるのは、誇張ではなく命がけ。足を踏み外せば“死”。いやだ。なにが悲しくて稚内のソバ屋の階段から落ちて死なねばならんのだ。ようやく2階に着いてふたたび絶句。そこには汚いスノコとでかいゲタ箱があり、想像を絶するほど汚い長靴やズック(まちがってもスニーカーなどというこじゃれた代物ではない)が、爆破された靴屋の焼け跡のように散乱しています。
ああっ、におう!半世紀ほど掃除を放棄した運動部の部室を想わせる異臭が鼻の粘膜を直撃します。廊下に上がったとたんに次なるショックが襲ってきました。壁に並んだ両開きの扉には、なんと前世紀の遺物・南京錠がっ!道理で、ソバ屋で渡された客室のカギが異様に小さいと思いました。しかも壊れていてカギの意味がない!もう限界でした。「誰か!誰かいませんか!」必死で救いを求めると、廊下の奥から、腹巻にステテコ姿の粋なじじいがヨロヨロと廊下を漂ってきました。どうやらこの宿に棲息している生き物のようです。カギのことを話すと、いったんヨロヨロと奥に引っ込み、新しい南京錠を持ってきてくれました。やれやれと思って、試しにカギをかけようとすると合わない!じじいを見ると、「あー、合わないねー。あきらめて」と接客業オール放棄のありがたいお言葉。
あきらめてセキュリティ皆無の客室に入ると、もちろん汚い・暗い・狭いの三拍子。しかもなんと驚くなかれ、客室と客室を仕切っているのはただのフスマ!隣りの部屋のおっさんの屁の音まではっきりくっきり聞こえます!明かりを消すと、隣りの部屋の光がフスマの間からレーザーのごとく鋭く差し込んでくる!テレビをつけると、隣りのテレビの音と混ざってしまう!もういやだ。とっととメシを食って早寝して早起きして逃げよう。そう決心して1階に下ります。そう、お察しの通り、この宿のメシは階下のソバ屋で食べるのです。
はい、言わずもがな、まずい・高い・少ないの三拍子です。これで1泊2食7000円!悪夢とはこういうことを言うのですね。 (もやしもん)
posted by elly at 12:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月29日

“至高の民宿"がなんと1泊2食付き5800円!

島牧村の民宿みなと(島牧村字港62 TEL0136-76-7410)

前回は究極のオーベルジュでしたが、今回は“至高の民宿”と参りましょう。
ここは、民宿というスタイルの宿泊施設の概念を根こそぎでんぐり返してくれます。まるで「放浪記」の森光子のように。

みなさんは民宿と聞くと、木造のボロ家を連想しませんか?孫の写真がべたべた貼られたタンスの置いてあるごちゃついた居間で、客の前でも好き勝手な日常会話をぶちかます家族と一緒にメシを食わされるうざったい宿だと思ってませんか?
否定しません。そーゆー民宿が驚くほど多いのは事実です。

ところが、ここ「民宿みなと」は違います。
目の前が日本海という典型的な海の宿なのに、まず建物がきれい!
といってもビカビカした新しい宿だというのではなく、隅々まで掃除が行き届いていて、清潔で、気持ちがいいのです。天井が高くて明るいのです。
おかみさんとその家族の応対が気持ちいいのです。
はっきりと「宿」というものがどういうものかを自覚しているのです。
悲しいかな、こういう民宿はきわめて珍しい存在だと言わざるを得ません。

そして客室の広さにも驚かされます。一人旅でも、広々とした素敵な部屋に泊めてくれます。
「お客さんを狭い部屋に詰め込みたくない」、
「あまりたくさんお客を泊めると、サービスが行き届かなくなる」
というおかみのモットーが反映されてるわけです。

で、海の宿ですから食事がまたうれしい。文字通り目の前の海で獲れたものが食卓に出てくる。
そのときの漁次第で、なにげなく前浜ものの毛ガニやアワビ、ウニ、エビが出てくる。土木作業で長期滞在しているお客がアワビの水貝にびびって「わあっ」なんて驚いたりしている。
そんな高級食材でなくても、鮮度と扱い方が違うので、普通に獲れる魚の煮付けや焼物がまたうまい。

これで1泊2食5,800円夢のようなお宿ですな。

寿都や島牧のほかの宿でひどい目に遭った人たちが、次々とやってきては二度とよそに行かなくなるという伝説の民宿でもありまして、1年前から予約を入れる人もいるくらいなので、泊まるのなら早めにTELを。 (もやしもん)
posted by elly at 11:57| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月13日

ついに究極の宿にであった〜

洞爺湖町のフェニックス洞爺クラブ(洞爺湖町洞爺町307-1 0142-87-2781)

 今回は、いわゆる“私にとっての究極の宿”をご紹介します。今まで泊まった中でも最高の宿、それが「フェニックス洞爺クラブ」。ここはホテルというよりオーベルジュなので、料理に関心がない、フランス料理が嫌い、食えりゃいいべや、というタイプのすっとこどっこいには絶っっっっっ対に泊まってほしくないです。とにかく料理がうまい!そんじょそこいらのフランス料理専門店が裸足で逃げていくほどうまい!洞爺の素材をきちんと使っていて、そこになんの無理もない。妙にごてごてした飾りつけでごまかすこともしない。シンプルで大胆に見えるが、繊細に調理されていることがわかる。素直にうまい。しかもボリュームがある。ここで焼いてくれるパン(出来合いなど使わないのである)がまたうまくて、ついおかわりしてしまったために、コースが終わってもなかなか席から立ち上がれないという醜態をさらしてしまいました。
 ここには、かのザ・ウィンザーホテル洞爺がオープン準備中、フランスから招いた総料理長(ひと口食べて料理が気に入らないと店を出ていってしまうというフランス版カイバラユーザンのような人)が料理の味に感激して連泊し、シェフの腕をほめたたえたという伝説が残っています。
 さて、気に入ったのは料理だけではありません。客室がまた見事! 天井が高い! 広い! きれい! 全室、窓から洞爺湖が一望できる! おおっ、バスルームも広い! しかも、ここは客室数が12しかなく、当然、宿泊客も少ないので、建物内のどこで何をしていても静かで落ち着けるんですね。オーベルジュなので、大声で携帯をかけるバカや走り回るクソガキもいない。ほとんど別世界です。
 温泉ではないが男女別の美しい浴場もあり、これまたすいているので落ち着いて入れます。洗い場の場所取りをする恥知らずの中年もいません。
 館内にはいたるところに抽象画がかかっていて、白を貴重とした家具類はすべて輸入品。屋内には温水プールにビリヤードルームにバー、屋外にはテニスコート。「欧米かっ!?」
 そして、最も特筆大書しておきたいのは宿泊費の安さ。なんと1泊2食で1万500円から。とても信じられない。一番高いプランでも1万5750円。はっきり言って採算度外視もはなはだしい。それもそのはず、このオーベルジュ、もともとはあのセイコーマートさんの保養施設で、言ってみれば会長さんのご厚意でこの値段。そう、勘のいい人は気づいたでしょう。宿名のフェニックスとは、セイコーマートさんのシンボルマークから取ったものなんですな。会長さん、ありがとう!  (もやしもん)

posted by elly at 19:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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